はこだてわいん×ハコダテアンチョビ
~生産者対談~

地域の生産者が思い描く道南の未来

はこだてわいん×ハコダテアンチョビ 地域の生産者が思い描く道南の未来

ワインに合う道南食材を発掘するプロジェクトとしてスタートした『食とツナガルWINE』。
最初にご紹介するのは、道南の新しい食文化の創造を目指して開発された『ハコダテアンチョビ』です。
近年、函館ではマイワシが大量に水揚げされるようになりました。
しかし、市場価値が低く、漁業関係者にとっても悩みの種になっているといいます。
そんな状況を知ったシエスタハコダテ統括責任者の岡本啓吾さんと、北斗市のレストラン・Pokke dishのオーナーシェフである齊藤亘胤さんが、マイワシの価値を上げるためにアンチョビを作ることを考案。
漁業関係者や水産加工業者、就労支援施設などと連携して開発されたのがハコダテアンチョビです。
世界初とされるマイワシを使用したハコダテアンチョビと、道南の地で前例のない事業としてスタートしたはこだてわいん。
共に地域に根ざした食文化は、どのような未来を作っていくのか。
はこだてわいんの渡辺富章さんと、ハコダテアンチョビの開発者である齊藤亘胤さんが、道南への熱い想いと、食文化が切り開く未来について語りました。

写真:渡辺 富章

WATANABE TOMIAKI 渡辺 富章

1967年、函館生まれ。
はこだてわいん企画室室長として商品開発に注力。

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写真:齊藤 亘胤

SAITO NOBUTSUGU 齊藤 亘胤

#優しい未来に繋がる仕組みを創るシェフ

1975年、北斗市生まれ。
北斗市でレストランを営むエシカルシェフ。

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CHAPTER 01 『食とツナガルWINE』プロジェクトが立ち上がるまで

―ワインに合う道南食材の発掘をテーマに掲げている『食とツナガルWINE』ですが、このプロジェクトがスタートした経緯について教えてください。

渡辺さん
当社は今年で設立50周年を迎えます。その節目に改めて自分たちが進む道を考えたときに、やはり取り組むべきは地域貢献だという結論になりました。というのも、そもそもはこだてわいんは地域貢献を目指して立ち上がった会社なんです。
当時、『函館ヤクルト販売』(現:南北海道ヤクルト販売)という会社があって、新規事業を行うことになりました。そのときに考えていたのが、「たくさんの雇用を生む」と「地域の素材を使う」という2つの軸だったんですよね。そういう事業をしていかないと、これからの企業は成り立たないという考えだったようで。その軸をベースにしつつ、「これからは洋食の時代だ」ということでスタートしたのがワイン事業でした。

―そういう成り立ちだったんですね。

渡辺さん
ただ、50年間やってきたなかで、創業当初の想いが薄まり、効率を求めるようになってしまった部分もあって。だからこそ、50年という節目のタイミングで初心に立ち返り、改めて地域に貢献できる企業を目指そうということになったんです。
渡辺さん
そんなときに知ったのがハコダテアンチョビさんのことでした。新聞などで活動を拝見していて、非常に気になっていたんですよね。道南の食を盛り上げている方々がいるんだなと思って。ワインにとって、アンチョビはとても相性のいい食材なので、何かご一緒できることはないかなと考えてお声がけさせていただいたのが、今回の企画のはじまりになります。

―地域貢献という初心に立ち返ったときに、活動に共感してタッグを組もうと思ったのがハコダテアンチョビさんだったと。

渡辺さん
はい。ハコダテアンチョビさんは、フードロス問題に取り組んでいらっしゃいますよね。我々もワインとのペアリングによって、捨てられてしまう食材に付加価値をつけ、道南圏のフードロスを解消したいと考えてきました。食べ物としての相性だけでなく、そういった考えの部分にも強く共感したんですよね。

―はこだてわいんさんから今回のお話を聞いたとき、齊藤さんはどんなふうに思われましたか?

齊藤さん
僕は以前、東京で飲食店をやっていたんですけど、そこではこだてわいんを出していたんですよ。ナイアガラとキャンベルアーリーのワインを。とてもジューシーで、誰が飲んでも素直に美味しいと言ってくれるワインでした。
渡辺さん
それは嬉しいですね。ありがとうございます。
齊藤さん
なので、声をかけていただきましたけど、僕のほうがはこだてわいんさんのファンだったんですよ。だから、逆に告白されちゃったみたいな気持ちでしたね(笑)。すごく嬉しかったです、本当に。「あのはこだてわいんさんと一緒に、我々のアンチョビを紹介してもらえるんだ」と思って、すごくワクワクしました。
渡辺さん
我々としては、せっかく皆さんが素晴らしい活動をされているのにご迷惑にならないかなという心配もあったんですよ。後乗りみたいにならないかなと思って。だけど、とても気持ちよく迎えていただいて、いい船出ができそうだなと嬉しく思っています。
CHAPTER 02

知識も前例もない、
ゼロからの商品開発