はこだてわいん×ハコダテアンチョビ ~食レポ対談~

漁る人、作る人、醸す人、
拡げる人からなるマリアージュ

はこだてわいん×ハコダテアンチョビ 「熟成×熟成」がはこだての未来を創る

あなたは「マリアージュ」という言葉を知っているだろうか。
マリアージュとは、フランス語で結婚や婚姻という意味を指すが、ワイン用語では「ワインと料理がお互いを引き立てる」という意味で使われる言葉だ。
ご挨拶が遅れたが、本記事のナビゲーターを務める齊藤いゆである。
早速、今回のマリアージュとなる新郎新婦をご紹介しよう。

新郎は、来年で50周年を迎える「はこだてわいん」。
北海道で唯一ISO9001に基づく品質管理体制を構築し、北海道産原料にこだわり抜き、広大な北海道の各地域のテロワールを感じることができる、カジュアルさと品質を両立させた北海道、いや日本を代表するワインである。
新婦は、世界初のマイワシを使ったアンチョビ「ハコダテアンチョビ」。
近年北海道で漁獲量が急増するも、フードロスが生じていたマイワシを使った新たな地域資源である。
今回、新婦ハコダテアンチョビは、「料理」というメイクやドレスをまとって入場する。
是非とも中座でのお色直しにも注目してほしい。

それでは、「はこだてわいん」×「ハコダテアンチョビ」の結婚式を始めよう。
披露宴開始は18:00、今回の式場はPokke dish(ポッケディッシュ)だ。式場の朝は早い。
オーナーシェフの齊藤亘胤さんは、新郎新婦のために、様々な食材の化学反応や色使いなど、マリアージュ全体のコーディネートを考えた。
いわばプランナー兼ヘアメイクアップアーティスト。
是非とも、鮮やかな彩りや変化を楽しみに本記事を読み進めていって頂きたい。

参加者紹介

当日は、熊木祥哲さん、渡辺富章さん、西村大輝さんが出席。はこだてわいん、ハコダテアンチョビについてそれぞれのイメージなどを語っていた。
語らいの中では、どちらも美味しいが特別な時に味わうことが多いという意見などがあった。
定刻18:00を迎え、ついに新郎はこだてわいんと新婦ハコダテアンチョビの披露宴が開始となった。
まずは、司会を務める岡本啓吾さんより「本日は、漁る人、醸す人、作る人、拡げる人にお集まり頂き、マリアージュについてお話頂きたいと思います」とスピーチがあった。

写真:熊木 祥哲
漁る人

KUMAKI YOSHINORI
熊木 祥哲

1980年、函館生まれ。
お喋り大好き、生もの苦手な漁師です。

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写真:齊藤 亘胤
作る人

SAITO NOBUTSUGU
齊藤 亘胤

#優しい未来に繋がる仕組みを創るシェフ

1975年、北斗市生まれ。
北斗市でレストランを営むエシカルシェフ。

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写真:渡辺 富章
醸す人

WATANABE TOMIAKI
渡辺 富章

1967年、函館生まれ。
はこだてわいん企画室室長として商品開発に注力。

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写真:西村 大輝
拡げる人

NISHIMURA HIROTERU
西村 大輝

1981年、函館生まれ。
飲食業歴25年、函館初のチーズ料理専門店を営む。

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REPORT 01 ワイン・ピノブラン×季節野菜のバーニャカウダ

では早速、1つ目のマリアージュをご紹介しよう。
新郎新婦の入場と共に、渡辺さん、齊藤さんよりそれぞれスピーチがあった。

渡辺さん
ピノブランはピノノワールという赤い果皮の葡萄品種の突然変異。酸はすっきりだが、しっかりとした、キレのある白ワイン。
お食事にもあう、まさに食中酒といえる。
齊藤さん
ピノブランとのマリアージュは、季節野菜のバーニャカウダ。
鶏肉にも相性が良く、飲んだ後に野菜を1つ1つ感じられる、ピノブランのすっきりした酸味が良い。

まずは渡辺さんから、季節野菜のバーニャカウダへ入刀した。先に伝えておこう。
ここだけの話であるが、出席者それぞれのファーストバイトは、「美味しい…うん…」とコメントの獲れ高は0というほど、味わい深く、奥行きを感じる素晴らしいマリアージュであったのだ。
ここからはセカンドバイト以降のそれぞれのコメントを紹介しよう。

渡辺さん
香ばしい野菜をコーティングするくらいハコダテアンチョビの旨味を感じるが、ピノブランを飲むことでリセットされ、一つ一つの素材の旨味をもう一度楽しむことができると思う。
西村さん
専門的なことは抜きにして、アンチョビの塩辛さが絡み、うまい。
一般のバーニャカウダは野菜も含めて冷たい印象があるが、ソースも温かく、温かみが感じられるメニュー。
ピノブランは初めて味わったが、フルーティー、かろやかで美味しい。野菜と白ワインはあう。
熊木さん
初めて味わったが、バーニャカウダと白ワインが非常に合っており、一般の人でも食べやすく、飲みやすいと思う。
齊藤さん
ワインをはさんで食べると、次の野菜をしっかり一から味わうことができる。
今回のバーニャカウダはハコダテアンチョビ・にんにく・オリーブオイルのみで作っているため、濃厚に味わうことができる。
熊木さん
自分が獲ったマイワシがバーニャカウダに変化し、ワインに合うとは思っていなかった。
このようなマリアージュが実現することで、新たな食文化が広がっていくような気がする。

お分かり頂けるように、素晴らしいマリアージュによって、出席者が楽しく、愉しく語り合っていた。余韻に浸り、ピノブランはすぐに1本空いた。
司会の岡本さんから、「このままだと酔っ払ってコメントできなくなってしまうため、次にいきましょう(笑)」と進行があった。
ここで新郎新婦の中座に入る。新郎新婦の入場まで、それぞれの経緯や道南に対する想いを熱く語り合い、あらいあんさんによる写真撮影なども行った。

食レポの様子を動画でCheck!

REPORT 02 ワイン・メルロー×豚肩ロース肉のグリル
〜アンチョビクリームソース〜

さあ、お色直しが終わり、新郎新婦の入場だ。
2つ目のマリアージュはこちら。

新郎新婦の入場と共に、渡辺さん、齊藤さんよりそれぞれスピーチがあった。

渡辺さん
メルローは味のバランスが良く、果実味がゆたか。
味はプラムやブラックチェリーのような濃いめの味が特徴的である。
齊藤さん
木樽とグリルした香ばしさが織りなす絶品のマリアージュ。

さぁ、ファーストバイトはどうなるだろうか。読者の想像通りである。結局変わらなかった。
もう「美味しい…」と悶絶するしかないのだろう。
ワインと料理、料理とワイン、ナイフとフォーク、グラスが交互に口に運ばれていく度、目を閉じ、それぞれ味わいを感じていた。
それぞれのコメントを紹介しよう。

渡辺さん
肉とアンチョビは合わないと思っていたが、見事にくつがえされた。
マスタードが良い仕事をしている。このレシピとの相性が良いと感じた。非常に美味しい。
熊木さん
とにかく美味しい。まさにマリアージュ。
西村さん
ソースが肉に負けないくらいの力強さがあるが、肉の旨味を最大限引き出しているため、ソースとして最高。
赤ワインは渋さが強いイメージがあったが、メルローは程よい渋さで飲みやすく、このレシピに良く合う。うまい!

マリアージュについて

コメント後の少し静かな時間。特に印象的だったのは、ワインと料理、料理とワインのマリアージュを味わった渡辺さんの「本当に美味しい…」と囁くような言葉だ。
すかさず司会の岡本さんも「すごくいい瞬間」と感嘆し、全員で頷いていた。
私はマリアージュについて思うことがある。
「ワインと料理」「料理とワイン」はお互いの魅力を高め合い、そして深め合う。
まさに”恋人”であり”夫婦”のような関係だ。
全く別の人生を歩んでいても、出逢いによって、一つひとつの幸せの形が創られる。
ワインを作った人、食材や料理を作った人。
仕事と仕事、想いが巡り合った仕合わせの形でもある。
今回のマリアージュは、まさに仕合わせと幸せの瞬間だった。
いよいよ新郎新婦が退場する。
出席者へ感謝を伝えるように、味わいという喜びの花束を心と舌に残し、今回の試食会という名の披露宴は幕を閉じた。
Pokke dish齊藤亘胤シェフによるコーディネートによって、はこだてわいん×ハコダテアンチョビは見事にマリアージュしたのだ。

食レポの様子を動画でCheck!

今後の展望

ここからは、今回のマリアージュを体感した渡辺さん、熊木さん、西村さんによる今後の展望についてのコメントをご紹介しよう。

地域資源となる、たべる幸せのマリアージュ

渡辺さん
市民と観光のお客さん双方へのPRが必要。ランチできる場所は多いが、夜はイカしかないというイメージがある。
イカが獲れなくなってきて、その次に何をもってくるのか。地域を盛り上げるためには、一か所の飲食店だけではなく、共通で使える素材がこれから必要。
ワインだけでのPRだけではなく、道南食材を使った料理と合わせるのは、非常に強力かつ芯のあるブランド力がある。
はこだてわいん×ハコダテアンチョビをきっかけに地域一体となって皆が楽しめる、「たべる」ことの”幸せ”の意義を伝えていきたい。

地元の食材の活用が地域を照らす

熊木さん
地元で獲れるものはいっぱいある。近海で獲れる魚でまだまだ一般的には知られていない美味しい食材がたくさんある。
未利用、低利用の食材を使った料理やお酒とのマリアージュによって、更なる地域の魅力に繋がる可能性を秘めていると思う。

地元の食材に触れ、地元の魅力を再発見する

西村さん
YouTubeで発信できる立場ではあるが、自分一人では限界がある。
まずは全員がハコダテアンチョビに触れ、美味しさを体感し、はこだてわいんとのマリアージュが生まれることで、地元の食材の魅力が更に広がる。地域に雇用や利益が生まれるよう取り組みを一体的にしていくため、ハコダテアンチョビとはこだてわいんのマリアージュを広めていきたい。

さいごに

私だけだろうか。
葡萄とマイワシから「ありがとう」と聞こえるのは。どうやら私だけらしい。
はこだてわいんとハコダテアンチョビ。
今回の試食会は、生育した環境は違えど、「熟成×熟成」が、新たな可能性を見せてくれた瞬間だったと感じる。
想いと旨味が凝縮されているのだ。
是非とも、今回のマリアージュをご家庭でも試して頂きたい。
私たちの暮らしを支え、豊かにしてくれる道南食材。
次のマリアージュのブーケはどのような食材が彩ってくれるのか。
更なる可能性に期待したい。
”人”と”食材”の化学反応が、私たちの未来を照らすのだ。

左から熊木祥哲さん、齊藤亘胤さん、渡辺富章さん、西村大輝さん

写真:齊藤 いゆ

SAITO IYU 齊藤 いゆ

マルチクリエイター

1991年、函館市⽣まれ、北⽃市育ち。
地域密着型の⾳楽家、⿂の専⾨家として活動。また、マルチクリエイターとして、⾳楽プロデューサー、アート、写真、動画編集、⽊⼯、ライティング、デザインなどを⼿がける。

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写真:岡本 啓吾

OKAMOTO KEIGO 岡本 啓吾

ディレクター

1985年、函館生まれ。
シエスタハコダテ統括責任者、Gスクエアセンター長を兼任。
Local Revolutionの代表も務める。

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